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債務整理と車のローン|自動車を残す方法とカーローン審査への影響

原案:司法書士 相澤 剛 更新

債務整理と車のローン

債務整理で借金を返しやすくなするのはいいとしても、そのために車が没収されるのは困りますよね。

しかし、債務整理をしても車を残す方法はあります。

そもそも、債務整理したからといって必ず没収されるとは限りません。

こちらでは、車のローンを債務整理するとどうなるのかについて解説するとともに、手続き中に車を利用する方法や、手続き後のカーローン審査への影響についても説明しています。

債務整理したいけどマイカーへの影響や車のローン、借金をどうすべきか悩んでいる人は、ぜひこちらの情報を参考にしてください。

車のローン返済中に債務整理すると車はどうなる?

債務整理がマイカーに影響を及ぼすとすれば、返済中のカーローン(オートローン)を債務整理する場合です。

これには、「所有権留保」の問題が絡んできます。

所有権留保が付いていると車は引き上げに

所有権留保が付いた車のローンを返し終わらずに債務整理すると、車はローン会社(信販会社)に引き上げられます。

所有権留保とは、「商品の支払いが終わるまで、その所有権は売主にある」 とする考えです。

カーローンの支払いが終わるまで自動車の所有権はローン会社名義になるため、返済できない購入者に商品(車)をお返しくださいとの主張も通るわけです。

一般的に、ローン会社に引き上げられた車は売却され、残債務の返済に充てられます。

ワンポイント

車の引き上げは「受任通知から1~2ヶ月」
債務整理による車の引き上げは、「受任通知から1~2ヶ月」が目安です。
車の引き上げは、以下のスケジュールで実施されるのが一般的です。

1債権者から「引き上げ通知書(同意書)」の発送

2債権者と車両引き上げ日時の調整

3債務者立ち合いの下、車両引き上げ実施

所有権留保が付いているか確認する方法

車を所有している人が債務整理する場合、まずは車に所有権留保が付いているかどうかを確認する必要があります。

所有権留保が付いていれば車は没収となり、付いていなければそのまま使用できるので、車の所有権が現状どうなっているか、必ず手続き前に確認しましょう。

2つの確認方法

車検証を確認(所有権留保が付いている場合、買主は「使用者」になっている)

契約書を確認

所有権留保が付いている場合、車検証の所有者欄はローン会社になっているのが一般的です。

ただし、車検証の所有者欄が自分名義になっていても、契約書には所有権留保について記載している場合もあります。

車検証を見るだけでは足りないときは、契約書と合わせてチェックしましょう。

債務整理しても車を没収されない方法は?

債務整理しても車を没収されない方法

カーローン返済中に債務整理をしたい、けれど車は残したい。

こんな場合は、任意整理を選択し、カーローンを対象外にすれば、車の没収を免れます。

任意整理を選ぶ

任意整理では、特別な理由や事情がある場合、特定の債務やローンを対象から外すことも可能です。

「仕事で車を使っている」「車がないと家族が買い物に行けない」など、車を残す正当な理由があれば、その旨を事務所に伝えることでカーローンを対象から外して債権者と交渉してもらえます。

任意整理してもカーローンだけは通常通り利息も含めた返済となります。

カーローンの会社に別の債務(借入)がある場合の注意点

カーローンの会社に別の債務がある場合、カーローンのみ任意整理の対象から外すことはできないので注意してください。

たとえばオリコからの借入を任意整理する場合、「オートローンだけ除外してキャッシングやショッピングリボの借入のみ整理する」といった言い分は通りません。 カーローンを任意整理から除外するなら、同じ会社の債務もすべて同じように扱うのが大原則です。

車のローンを完済する

そもそも車のローンを完済していれば、所有権留保付きであっても自分名義になるため、車没収の恐れはありません。

もう少しでローンの返済が終わるのなら、その債務分だけ返し終わった後に債務整理する方法を検討してもよいでしょう。

家族や親戚の協力を得られないか相談してみるのもよいかもしれません。

なお、任意整理の対象から外した債権者に対する返済は、債権者平等原則に反し、その後、自己破産となってしまった場合は、破産手続上問題となる場合があります。

よって、任意整理の手続きを組んでも、将来的に頓挫してしまう可能性があるのであれば、一部の業者を除外する任意整理は避け、全社に任意整理介入、その他、個人再生の手続、自己破産の手続を検討して頂く必要があります。

銀行のカーローンで購入した車は没収されない

銀行のカーローンで購入した車は没収されない

債務整理しても車が没収されない例外的なカーローンに、銀行の「マイカーローン」があります。

なぜなら、銀行のマイカーローンはディーラーや信販会社のオートローンと違い、所有権留保が付かないからです。

購入車両に所有権留保が付いているかどうかは、先述の通りローンの契約書で確認できます。

債務整理中に車が必要になったときの対処法

ここでは、債務整理によって車を手放した方が、車が必要になったとき利用する方法を紹介します。

カーシェアリングの利用

債務整理しても車を没収されない方法

カーシェアリングは、会員同士で車をシェアして利用するサービスです。

カーシェアリングなら審査はありませんし、現金払いも可能なので、債務整理中でも利用しやすいメリットがあります。

カーリースの利用

カーリースは、毎月の定額料金で車を利用できるサービスです。

初期費用は不要で、リース契約を結んでいる間はマイカーのように自由に乗り回すことができます。

審査はありますが、車両を購入するより金額負担は小さい分審査基準はカーローンよりやさしく、債務整理中の方でも審査に通る可能性はあります。

債務整理後に車のローン審査に通るポイント

債務整理後に車のローン審査に通るポイント

債務整理した後、必要があって車を購入することになる人もいるかと思います。

ここでは、債務整理後に車のローン審査に通るポイントを説明します。

ブラックリスト解除後に申し込む

債務整理後に車のローン審査に申し込むのは、ブラックリストが解除された後にしましょう。

債務整理すると、しばらくの間事故情報となって信用情報機関に登録され、その期間はクレジットカードやローンの審査に通るのがほぼ不可能になります。

しかし、ブラックリストが解除されれば(登録期間が過ぎれば)、債務整理を理由にオートローンの審査に落ちることはありません。

債務整理によるブラックリストは5年もしくは10年程度で解除されます。

債務整理後の信用情報がどうなっているかについては、金融機関が加盟する信用情報機関にアクセスすれば確認できます。

各信用情報機関の公式サイト

関連JICC

関連CIC

関連KSC

債務整理した会社は避ける

債務整理後にカーローン審査を申し込む場合、整理した会社は避けましょう。

ブラックリスト解除となっても、債務整理した会社からは二度とローンを組めない可能性が高いからです。

消費者金融や信販会社には債務者の借入履歴に関する独自のデータベースがあり、債務整理した人の情報は「社内ブラック」として半永久的に残るといわれています。

可能性の低い会社の審査を受けるのは得策ではありません。

何度も落ちると信用力が低下し、他社の審査にも通りにくくなってしまうことにも注意が必要です。

そのような観点から、債務整理した会社はなるべく避け、別の会社のカーローン商品を探すのが得策です。

自社ローンに申し込む

債務整理した人でも、「自社ローン」なら比較的審査に通りやすいです。

自社ローンとは、中古車販売店が独自に提供する分割払いのサービスをいいます。

ローンと言っても銀行のマイカーローンや信販会社のオートローンのような金融商品ではなく、立て替えてくれた中古車販売店に購入者が分割で返済していくという仕組みになります。

自社ローンの審査は、信販会社が行うような信用情報機関の情報を参照するものではなく、中古車販売店独自の審査基準で行うことから、信用情報に問題がある人でも審査に通りやすい面があります。

ただし、自社ローンは一般的なカーローンより金利(手数料)が高く、月々の返済額も支払総額も多くなる点に注意が必要です。

自社ローンを利用して車を購入する際は、メリットとデメリットの両方を考慮したうえで検討してください。

まとめ

債務整理をしても必ず車が没収されるわけではなく、たとえば任意整理を選んでカーローンを整理対象から除外すれば、車を残すことが可能です。

また、銀行のマイカーローンのように所有権留保が付いていない車なら、没収の恐れはありません。

債務整理後のカーローン利用については、信用情報機関に事故情報としてその事実が登録される関係上、審査に通りにくくなるデメリットに注意してください。

任意整理ならマイカーへの影響を避けることも難しくありませんので、ローンや借金の支払いに困っていたら弁護士・司法書士に相談することをおすすめします。

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