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執筆: 司法書士 相澤 剛 更新
日本人の10人中9人は見たこと聞いたことあるであろう、過バライ金CM。
そのCMから聞き取れるフレーズをめぐり、「それって本当なの?」や「これってどういう意味?」といった疑問、さまざまな憶測、噂などがSNS上で飛び交っています。
やがてそれらはひとり歩きして、“都市伝説”といっていいレベルにまで成長・・・。
金利や利息に関する知識について、多くの日本人が備えていない実情も関係していることでしょう。
ならば、過バライ金のプロが、CMをめぐる疑問・不信・謎を徹底検証してモヤモヤを吹き飛ばしてみせましょう!
名付けて、『過バライ金の都市伝説を斬る!』コンテンツ。
過バライ金がどれくらい戻ってくるのか、大まかなイメージ形成にも役立つと思いますので、請求前に要チェック!
テレビをつけても、ラジオをつけても、流れる過バライ金CMにうんざり! という人は多いかも?
ところで、そんなCMではよく、「100万円戻ってくるかも」といったフレーズが流れますよね。
100万円も戻ってくるなんて、本当に?
そんなうまい話あるのか? と思う人もいれば、
どんだけ借金してんだよ! と突っ込む人も。
過バライ金にまつわる都市伝説「100万円のナゾ」に迫る!
なぜ都市伝説が生まれるのかまで含めて、じっくり解説していきましょう。
そもそも、なぜ弁護士・司法書士たちはCMをジャンジャン流したがるのか?
答えはカンタン。
過バライ金という“埋蔵金”を掘り起こしたいからです。
借金を払い過ぎた分は、返還されなければならない。
その額はひとりあたり100万円とも。
業者から取り戻すには、弁護士・司法書士の力が必要。
というわけで「ここに味方となる先生がいますよ」とアピール。
周知のための有効な手段として、テレビCMがあるわけです。
過バライ金CMには、一度聞いたら忘れない特徴があります。
まず、「はやく請求しないと損しますよ」という感じの煽り口調。
「時効が迫っていますよ~」
「請求には期限がありますよ~」
まるで請求しなかったら大変なことになる、みたいな調子でさかんにけしかける。
しかも、効果音まで使う手の込みよう。
また、「ひとり平均100万円!」と、分かりやすい数字をキャッチコピーに持ってくる手法も、この手のCMではおなじみですね。
まるで、年末ジャンボ宝くじのCMみたいな、射幸心をそそる演出。
これらの特徴からわかるのは、法律事務所の“必死ぶり”ではないでしょうか?
かつて暴利で苦しんだ人たちを助けたいというより、ビジネスとしておいしいからとにかくCMを打つ、という印象です。
そんな姿勢も透けて見えるから、「過バライ金CM うざい」などと検索されるのではないでしょうか・・・
“うざい” “うるさい” “見たくもない”
世間一般の過バライ金CMに対するイメージは、決してよくありません。
とにかくテレビでもラジオでも、そのCMを見ない・聞かない日はないというくらい、流れていますから。
当の本人たちにだけ届けばいいのですが、CMだからそうもいきません。
高校生とか大学生とか、借金とはまったく無縁の人に押しつけるように流れてきます。
ためしに、CMでよく名前を聞く法律事務所について、周りの友人に聞いてみてください。
「その名前知っているよ」とかなりの確率で言われるでしょう。
それほど世の中に浸食しているわけですから、Twitterなどでもよく話題に上ったりします。
「100万円も戻ってくる? いったいどんだけ借金してんだよ!」
こんな調子で書き込まれているのをよく見かけますね。
「CMを打つ弁護士先生たち、がんばっているなあ」なんてポジティブに受け止める人はほぼ皆無。
だいたいが、ネガティブな書き込みです。
また、元債務者の人たちに対しても、あまりよいイメージは持たれていないようです。
借金まみれで、とても苦労してきた人たち。
その額も、1,000万円とか途方もない金額。
あちこちからお金を借りまくって、それで今過バライ金が戻る戻らないとかで忙しくしている、みたいなイメージでしょう。
日本人はとくに、借金する人に対してよいイメージを持たない人種ですからね。
しかしそれはある意味、借金の仕組み、返済の仕組みについて、全体的に理解が進んでいない証拠と言えなくないでしょうか?
「過バライ金100万円なんて、どんだけ借金してんだよ」というTwitterの書き込みからわかること。
これは想像ですが、「一度に何百万、はたまたン千万円も借りてそうなった」と勘違いしているのではないでしょうか?
ようするに、元本を借り過ぎて、その額が違法だったから、今返還騒ぎが起きている、といった誤解。
過バライ金は、「元本」から発生するものではありません。
払い過ぎた利息の分が戻ってくるものです。
キャッシングの返済には、毎月利息が発生します。
この毎月支払っていた利息が、むかしは30%くらいに設定され、裁判で違法という判断が下されました。
利息制限法では、個人への貸付で許される金利は最高20%としています。
つまり、むかしの債務者は、10%近く余計に返済していたわけです。
キャッシング業者は、今もむかしも、この利息で儲けています。
その儲け方が20年ほど前までは違法だったがために、返還騒ぎが起きてテレビCMが打たれているというわけです。
何となく「うさんくさいなあ」となりがちな過バライ金。
しかし、国が認めていることですし、業者も基本的には返還しなければならないというスタンスです。
ただ、やはり難点は、ビジネスに目がくらんだ弁護士・司法書士の先生たち。
彼らはとにかく、情報を正しく流すことより、いかに受話器へ伸ばす手を増やすかに重きを置き、その観点からCMを流します。
CMでは最低限の情報しか伝えられませんので、誤解や勘違いが生まれやすくなるのは当然ともいえます。
当の本人たちですら、過バライ金について、ぼんやりとしたイメージしかなかったりします。
さて、あなたが借りていた当時の金利が何%か、答えられるでしょうか?
業者名は? 取引期間は?
何社から借りていた?
限度額は? 返済総額は?
返し終わったのはいつか?
なかなか正確に答えられる人はいません。
金利すら、わからずに借りていた人もたくさんいます。
まして、借金と縁のない人なら、なおさらわかりにくいでしょう。
「過バライ金100万円なんて、どんだけ借金してんだよ! 1,000万円くらいか?」
世間の人がそんな認識を持つのも仕方ないのかもしれませんね。
過バライ金の額を決定付ける要素として、金利が大きいのは言うまでもありません。
もうひとつ大きいのが、取引期間です。
わかりやすく言うと、「最初に決めた契約期間を守れず、借りたり返したりを繰り返して、延々と利息を払い続けた期間」となります。
消費者金融にしろクレジットカードにしろ、最初の限度額は50万円や100万円だったりが普通です。
限度額が50万円に過ぎなくても、過バライ金は200万円というケースもあります。
「えっ? 借金の額より多いってどういうこと?」
キャッシング返済の仕組みや、債務者の実態について詳しくないと、こんな疑問も湧くでしょう。
実は、借金する人のなかで、最初の1年で返し終わる人は珍しいくらいです。
大抵、ズルズルと引き延ばして、10年、20年と借金生活を続けています。
10人いたとして、1年で返し終わる人が3人でもいればいいほう。
そのうち7人は10年以上借りています。
そのうちの3人は、20年以上借りていたり、といった具合です。
30%近い金利で、限度額50万円、100万円を何年の長きにわたって借り続けていた人たちが、いかに多いか。
長年債務者と接してきた事務所なら、その実態がわかります。
そんな調子だから、払い過ぎた利息も、雪だるま式に膨れ上がっていくわけです。
まさに、「どんだけ~」の世界ですね。
過バライ金請求する人は、10年、20年のスパンで借りていた人が多い、という話をしました。
金利も、今の法定金利より10%高かった。
たとえ月々数万円の利息でも、何年も支払いを続ければ途方もない金額に化けることは、細かい計算をしなくても想像できるでしょう。
最初に呈した、「過バライ金ひとりあたり100万円は本当か?」というナゾ。
これは本当です。
ひとり平均100万円は、間違いなく出ています。
だから、弁護士たちはCMでウソは言っていないわけです。
もちろん、フタを開ければ少額しか出なかったという人もたくさんいます。
反対に、200万、300万、500万円の過バライ金が発生するケースも少なくありません。
あくまで、平均値が100万円程度、という話です。
ちなみに、相澤法務事務所のひとりあたりの平均返還額は、124万円です。
実績のある有名事務所なら、平均100万円は軽く超えていることでしょう。
これだけの大金が発生し、かつ膨大な数の請求件数に上るからこそ、目の色変えて集客にはげむ事務所が後を絶たないのです。
これっぽっちしか出ない話であれば、報酬も少なくなり、とても高額なCM料を回収できるわけがありませんからね。
過バライ金は、間違いなくお金になる話です。
そしてお金が好きなのは、立派な弁護士先生たちも同じ。
過バライ金CMをめぐる話は、人間世界の縮図のようなものかもしれませんね。
利息やグレーゾーン金利について、ぼんやりとしかわかっていない!
そんな人、多いよね?
お金を借りたことのある人でさえ、何%の金利で借りていたのか、わかっていない人が多い・・・
せめて過バライ金請求するのなら、利息やグレーゾーン金利について知っておいたほうが安心!
それがわかれば、過バライ金が出る仕組みもわかってくるよ!
というわけで、あいきんくんが利息やグレーゾーン金利にまつわる疑問について答えていくよ!
現在の金利は、法律で次のように規定されているよ!
100万円以上:15%
10万~100万円未満:18%
10万円未満:20%
グレーゾーン金利時代に100万円以上借りていた人は、15%近く高い金利で貸し付けられた可能性もあるわけだね。
金利とは、借りたお金に対して支払う利息の割合のことで、○○%というふうに表示されるよ。
対して利息とは、元本と金利、利用日数をもとに計算されるもので、○○円というふうに表示されるよ!
金利が高ければ利息は高い額となり、低くければその分安くなるよ。
利息の計算方法はこんな感じだよ。
計算が面倒! と思ったら、業者サイトの返済シミュレーションを使うといいよ!
キャッシングの返済方法はいくつかあって、契約のときに好きな方法を選べるようになっているよ。
ざっくり説明すると、毎月の返済金は「利息+元金の一部」となるよ。
つまり、毎月利息を支払っていく仕組みだね。
もちろん元金も返済していくよ!
でも、1万円返済したら、限度額に1万円分の余裕が生まれるため、その枠を使ってまた借りるという人が多い・・・
そんな感じで、キャッシング生活から抜けられない人がほとんどなんだ。
むかしはどこも、27~29%の高金利だったことは確か。
でも、限度額が少なくて、なおかつすぐに返し終わっている人は、いくら金利が高くても少額しか戻ってこない可能性が高いよ!
過バライ金が100万円以上出る人には次のような特徴があるよ。
金利が高い(28%、29%など)
10年以上の長期で借りていた
限度額も徐々に上がっていった
金利も、たとえば21%くらいだったら1%しか違わないので、たいして戻ってこないかも!
加えて、取引期間がどれだけ長かったかも過バライ金額を決める大きな要素だよ!
それは、利息や金利について教わる習慣がないから、といえるね。
アメリカやヨーロッパなどでは、小さな子どもでも金融について学ぶ環境があるみたいだよ。
日本ではそんな環境がないのに加え、特別な理由がない限りお金を貸したり借りたりする習慣がないのも大きいかもね。
でも金利や利息について学ぶことは大事で、その知識があると賢い返済の仕方も覚えるから便利だと思うよ!
過バライ金請求する人たちは、いったいどれだけ利息を“余分に”払わされ続けてきたか?
「過バライ金100万円出る」と言われても、漠然としてなかなかイメージできないと思います。
実際に支払ってきた利息額は、もっと高額です。
そこで、グレーゾーン時代に支払ってきた利息と、法定金利の利息ではどれくらいの開きがあるのか、比較してみましょう。
ここではあくまでわかりやすくイメージできるよう、金利も利息も大まかな数字にとどめておきます。
実際の利息や返済額の計算はもう少し複雑になりますので、その点を留意してお読みください。
借入額
→ 100万円
取引業者
→ A社から100万円、翌年B社から100万円借りる
取引期間
→ 1996年~2005年
元本100万円の金利30%ですので、年間の利息はざっと30万円。
返済を終わらせず、借りては返す、を繰り返して10年間利息を積もらせるとどんな状態になるのか?
そして、現在借りる場合とどれほど開きがあるのか?見ていきましょう。
金利30% | 金利20% |
---|---|
1996年 | |
100万+30万=130万円 | 100万+20万=120万円 |
1997年 | |
100万+30万×2=160万円 | 100万+20万×2=140万円 |
1998年 | |
100万+30万×3=190万円 | 100万+20万×3=160万円 |
1999年 | |
100万+30万×4=220万円 | 100万+20万×4=180万円 |
2000年 | |
100万+30万×5=250万円 | 100万+20万×5=200万円 |
2001年 | |
100万+30万×6=280万円 | 100万+20万×6=220万円 |
2002年 | |
100万+30万×7=310万円 | 100万+20万×7=240万円 |
2003年 | |
100万+30万×8=340万円 | 100万+20万×8=260万円 |
2004年 | |
100万+30万×9=370万円 | 100万+20万×9=280万円 |
2005年 | |
100万+30万×10=400万円 | 100万+20万×10=300万円 |
グレーゾーン金利と正常金利の差がどれくらいか、お分かりいただけたでしょうか?
2005年時点で、背負うA社からの借金は、30%で総額400万円、20%で総額300万円。
「グレーゾーン金利で10年借り続けた人の過バライ金はおよそ100万円」という説明も、だいぶイメージしやすくなると思います。
もちろん、実際の過バライ金計算はもう少し複雑ですので、これはあくまで大まかなイメージをつかむための計算と思ってください。
「過バライ金CMってうざいな~」
これは視聴者の印象。
しかし、CMを打つ側の法律事務所には、ちゃんとした計算と思惑が。
一方、CMを放送するテレビ局側にも、計算と思惑は働いています。
立場が変われば、見える景色も変わるのが、過バライ金CMの世界。
視聴者、弁護士事務所、テレビ局。
三者三様の立場から見える景色は、果たしてどんな色?
会社員・音無さん(40)は、妻と息子ひとりの三人家族。
これまでギャンブルも経験なければ借金したこともない、律儀で潔癖症な性格。
名前の通り静かな環境を好み、山林のお厳かな雰囲気のなかたたずむ神社仏閣をたまの休日に回るのが、密かな楽しみでもあります。
キッチンで洗い物をする奥さんがちょっとでもガチャガチャさせれば、「ちょっと、もう少し静かにしてよ」と小言を言うくらい、うるさい音に対して敏感です。
そんな音無さんが休日の昼間、リビングでコーヒーでも飲みながらお寺雑誌に目を通していたときのこと。
テレビから、聞き覚えのあるメロディとフレーズが耳に飛び込んできました。
「過バライ金~♪ 過バライ金~♪ 100万円戻ってくるかも~ フリーダイヤル〇〇まで~」
陽気に流れるテレビCMに、音無さんは思わず舌打ちを立てました。
「なんでこう毎日毎日、借金のCM流すかな・・・」
ここ最近、テレビからラジオから、毎日のように流れてくるCMに、うんざりしていたところだったのです。
静寂を愛する音無さんにとって、大量に流される過バライ金CMは騒音そのもの。
それどころではない、ある困った事態も発生しました。
「過バライ金~♪ 過バライ金~♪ 100万円戻ってくるかも~ フリーダイヤル〇〇まで~」
また過バライ金CMか!
と思ったら、何と4歳の息子が口ずさんでいるではありませんか!
息子はそのメロディがよほど気に入ったのか、何回も何回もうれしそうに口にします。
やめなさい!
と注意しても、聞きません。
「おいおい、子どもが真似するようになったじゃないか・・・」
とうとう小さな子どもを虜にしてしまったCMに、音無さんは頭を抱え込んでしまいました。
このままでは子どもの教育にも悪い!
そう思った音無さんは、テレビ局に抗議の電話を入れる決心をしました。
「もしもし? あの、過バライ金ってやつ、毎日のようにCM流していますよね? 借金のCMを日曜の真昼間から流すのっていったいどうなんです? 子どもたちに悪い影響を与えていますよ!」
「わかりました~お客さまの意見は伝えておきます~」
テレビ局の人は問題意識ゼロ、まさに木で鼻をくくったような対応で、てんで話になりません。
ならばと、監督機関である総務省にも電凸。
「気持ちはわかるんですけどね~別に違法なことしているわけじゃないし、借金問題ではなく払い過ぎたお金が戻ってくる話ですので、必要な人は必要なんですよ、知らない人もいるから・・・」
別に悪いことをしているわけじゃないから、規制などできない、という説明。
それにしてももう少し節度があっていいだろうに、というのが音無さんの感想です。
ネットで何か情報があるだろうか?
そう思って音無さんは検索をかけてみました。
すると、検索窓に過バライ金CMと打っただけで、予測変換で“うざい”と出てきて苦笑い。
やはり、世の中には同じような感想を抱く人が大勢いるんだと、何だか心強くなりました。
それにしても、検索ページに出てくるのは、法律事務所のサイトばかり。
確かに、過バライ金請求を呼び掛けているのは、法律家の先生たちです。
彼らが率先して、「はやくご依頼ください」と言うわけですから、怪しいビジネスでないことは間違いありません。
テレビ局が自粛するわけもなく、まして総務省が規制をかけられるわけがない。
立派な先生たちが流すCMなのだから。
これはもうこちらがガマンするしかないのか、と肩を落とす音無さんでした。
正義(まさよし)事務所代表の正義さん(50)は、過バライ金・債務整理を専門に手がけるベテラン弁護士です。
降って沸いた過バライ金ブームのおかげで、事務所は全国に支所を構えるほどに急成長。
自身も年収一億円を超える億万長者です。
順風満帆、死角なしに見える事務所経営、その原動力となったのが、過バライ金CM。
とくにテレビCMの効果は絶大で、月間100人を超える問い合わせのほとんどは、テレビCMで流すフリーダイヤルからです。
正義事務所は、CM出稿に数億円を投じています。
そんな巨額投資を十分に回収できるほど、過バライ金請求はうま味のあるビジネスなのです。
過バライ金・債務整理一筋で、正義さんはここまで来ました。
事務所立ち上げ当初は、業者との交渉も簡単ではないだろう、と思っていましたが、はじめてみれば百戦百勝。
最高裁判決もあり、裁判すれば素直に返還に応じる業者がほとんどです。
経営も、さほど難しくありません。
何せ、テレビCMを打つだけで、わんさかと電話が鳴り響くわけですから。
しかも、過バライ金CMのターゲット層は、中高年のサラリーマンや主婦なので、幅広い層に届かせる必要はありません。
つまり、もっともCM料が高いゴールデンタイムは避けて、コスパのよい平日の昼間などに流せばよいわけです。
高い費用対効果を生み出すテレビCM、過バライ金との相性は抜群といえました。
正義事務所は、この業界では五本の指に入る大手です。
実績件数、弁護士在籍数、回収総額も抜きんでています。
しかし、「取れる依頼は何でも取れ」という受注優先主義のため、強引な営業やずさんな実務処理も目立つといった困った一面も。
「調査に何か月かかるんですか!」
「この手数料何? こんなのが引かれるなんて聞いてないんだけど」
「100万円戻ってくるという説明だったのに、70万円しか戻ってないんですけど?」
こんなクレームが多いのも、正義事務所の特徴です。
大量受任・スピード処理をモットーにかかげる以上、ひとりの依頼者にそんな多くの時間など割けられない。
説明はいい加減になるし、事務処理も手抜きに。
しかし、そんなクレームや悪評判も何のその、今日も変わらず朝から夕方まで事務所の電話は鳴りっぱなしです。
テレビCMという強力な武器を持つ正義さんに、怖いものはありません。
過バライ金請求がはじまって10年以上、すでにピークは過ぎ、請求件数はだいぶ落ち着きを見せています。
この10年間、過バライ金請求をめぐってさまざまな変化がありました。
もっとも大きいのが、集客方法ではないでしょうか。
過バライ金が盛り上がった頃、効果があったのは圧倒的にテレビCMでした。
現在は、それに対抗し、「SEOコンテンツ」なる手法が台頭しています。
これは、サイトコンテンツの作成を通して検索上位を狙うというものです。
大手ほどではない、規模が中堅どころの法律事務所は、ネット集客にシフトを移した戦略もちらほら見られます。
対して正義事務所は、テレビCM一本槍で成功し、今なお順調なので、その必要性を強く感じません。
ホームページは、基本的な情報のみを掲載する簡素なものです。
しかし、このまま放置すればネット検索で下位に落ちることも予想され、大手としての権威に傷が・・・
「時代はSEOか、うーん、アフィリエイト会社でも使ってコンテンツを入れるか」
新たな戦略を練りはじめた正義さんですが、うまくいくかどうかは未知数です。
金先さん(55・男性)は、某キー局に所属する名物プロデューサー。
バブル時代は主にディレクターとしてドラマ制作などで活躍、現在は予算編成やキャスティング、進行管理など統括的な仕事を任されています。
プロデューサーのもっとも重要な仕事といえば、予算確保と編成です。
テレビ局の予算は、ほぼすべて広告収入で決まるといっても過言ではありません。
実は、金先さんがプロデューサーになりたての頃、折しも全体的な不景気でバブル時代より広告収入が減り、スポンサー確保に苦労したものでした。
そこへ過バライ金ブームなる救世主が現れたのは、今から15年ほど前。
大手の法律事務所を中心に、広告を出す事務所が数知れず現れ、あっという間にV字回復。
一時のブームと比べたら落ち着きを見せたとはいえ、過バライ金の広告収入は今なお大きな収入源です。
全国のお茶の間にその名を広められるテレビCMは、企業にとって大きな魅力。
過バライ金CMを流す弁護士事務所と対極にある消費者金融も、かつてはテレビ局の大スポンサーでした。
金先さんも、新人P時代、大手消費者金融の広報担当に大変お世話になった経験があります。
その消費者金融が、お茶の間からほとんど姿を消した時期がありました。
その理由は、過バライ金です。
膨大な数に上る請求件数と返還額で、CMを出す余裕がなくなったのでした。
テレビ局にとって都合がよかったのは、消費者金融に代わって過バライ金事務所がスポンサーになってくれたこと。
おかげで潤沢な予算の確保につながり、番組も滞りなく制作できました。
その過バライ金ブームも一段落し、法律事務所の出稿も減ってはきています。
しかし、今度は消費者金融が息を吹き返し、スポンサーになってくれるところも増えたため、それほど大きな落ち込みはありません。
難しいのは、両者がバッティングしないよう調整することくらいです。
過バライ金CMといえば、はやめの依頼を促すような演出が特徴的です。
請求は10年で時効になるため、それを逆手にとり、はやく依頼しないと損しますよというニュアンスで煽るわけです。
テレビは公共性の高い媒体ですので、やり過ぎは禁物。
ベテランの金先さんも、そのあたりは重々承知しています。
かつて、誤解を与えるようなCMを流した某大手事務所が批判を浴び、自粛に追いやられた出来事も、神経質にさせます。
平成28年ごろに流れたそのCM、問題となったのは、「10年で時効!」とさかんに訴えかけるフレーズでした。
時効の起点が明確になされなかったため、今年中に時効かと勘違いした人がたくさん出て事務所への問い合わせも殺到したのでした。
過バライ金の時効は、完済してから10年です。
誤解を招くようなCMは、テレビマンとしては慎まなければなりません。
常識的な限度のラインさえ守っていれば、過バライ金CMに対してよく思わない人が大勢いても、許されます。
金先さんの耳にも「CMがうざいっていうクレームまた来ましたよ」なる報告が入ってきますが、「それよりスポンサーのご機嫌とるのが大事」という気持ちです。
お金を払って広告枠を買い取ってくれる企業は、テレビ局にとって大切なお客様であり、今後ともお付き合いしたいと願う金主に他なりません。
広告収入が減れば、番組制作は滞り、テレビ局の経営にも響いて、我々の給料も減る。 世間の評判よりも、まずはスポンサー集めと視聴率を稼げる番組づくりが、金先さんたちの使命なのです。
最近ではテレビ出演する弁護士さんも増えたため、金先さんの周りには知り合いの弁護士もいます。
ある日、自分の番組に出てくれたことがきっかけで仲良くなったある弁護士さんに、こんなことを言われました。
「過バライ金請求する人はいずれいなくなりますよ。それにしても、法律のプロを名乗る人たちが競ってCMを打つ姿は、ちょっと見苦しいですなあ」
その弁護士さんは、刑事事件が専門分野で、さかんに煽りまくるCMに対して苦々しく思っていたとのことです。
金先さんは、弁護士さんのセリフの後半には興味がありません。
それより、「過バライ金請求する人はいずれいなくなりますよ」の部分が耳に残り、スポンサーが減るじゃないかと憂うつになったのでした。
無料調査と称して、過バライ金デメリットについて知識が少ない相談者をテレビCMで大量集客している…過バライ金請求は事務所選択を間違えると大失敗することも!!本当にあった実話を直筆の体験談とともにご紹介!
詳しく見る「調査費用0円」というフレーズにつられ決めた事務所の費用、フタを開ければとんでもなく高額だった、などの例はいくらでもあります。
響きのよい文句にだまされないためにも、費用は細かくチェックしましょう。
過払い金の返還率、何で全部一緒ではないのだろうと思ったことはないでしょうか?業者の思惑や返金額が決まる背景などをみていくと、それらの謎を解明できます。お金が戻ってくる舞台裏に迫ります。
詳しく見る日本人の10人中9人は見たこと聞いたことあるであろう、過バライ金CM。
そのCMから聞き取れるフレーズをめぐり、「それって本当なの?」や「これってどういう意味?」といった疑問にせまります!
時効で失敗し過払い金が0に……そんなリアル体験談を紹介しつつ、民法改正で変更になった時効ルールを徹底解説。
相澤法務事務所での「時効を防ぐ5つの即対応」も紹介。ストップ期限切れ!