うっかり時効?取引の分断に気づかず過バライ金を逃した人の話

原案:司法書士 相澤 剛 更新

うっかり時効?取引の分断に気づかず過バライ金を逃した人の話

今回も、依頼者アンケートをもとに過バライ金の時効について解説いたします。

今回取り上げるのは、「取引の分断があり、それに気づかず放置した結果、一部業者の過バライ金が時効となった」57歳会社員の“失敗例”。

“取引の分断”といえば、過バライ金返還訴訟において、よく浮上する争点のひとつ。

同じ業者相手に1度完済してまた借りた経験を持つ方は、過バライ金の時効に注意したほうがよいでしょう。

グレーゾーン金利にかかる取引を完済・再開した経験のある方は、本記事が役立つと思われますのでぜひご一読ください。

取引の分断がある人は時効に注意!

取引の分断がある人は時効に注意!

5社と取引され、うち一部に「取引の空白」つまり完済取引があった関係で、すべての回収とならかった依頼者さまの例です。

時効となり過バライ金を取り逃すケースとしては、次の2パターンがあります。

1.完済10年で時効

2.完済した関係で取引がふたつ以上に分かれ、古い取引が時効となる

1のほうはわかりやすく、自覚されている方も多くいます。

気づきにくいのは、2のほうです。

いわゆる「取引の分断」というもので、このケースで時効となり、過バライ金を取り逃す人が増えています。

取引の分断とは?

取引の分断とは?

すべての返済を終えた後、同じ業者から再びお金を借りて再スタートした取引には、完済から再開までに空白が生じます。

この空白期間が長期におよんだり、一度カードを解約したりしている場合、前後の取引は違うものと見なされます。

この状態が「取引の分断」です。

通常、完済前と後の取引が同一か別ものかなどは問題にならないと思いますが、過バライ金請求では大きな争点となります。

完済前の取引がすでに時効となっていることもあるからです。

過バライ金請求と取引の分断

分断がからむと優良業者も徹底的に争う姿勢

取引の分断がからむと、返還に前向きな優良業者も徹底的に争う姿勢を見せてきます。

取引が分かれるか、一連となるかで、返還額が大きく変わるからです。

業者や期間を具体的に設定して考えてみましょう。

キャッシング大手・アコムと次のような取引があったとします。

  取引期間
第1取引 1995(平成7)年4月~2007(平成19)年3月
第2取引 2009(平成21)年5月~2015(平成27)年4月

アコムは2007年6月まで27%超の金利で貸し付けを行っていました。

第1取引には過バライ金が発生するものの、2020(令和2)年現在すでに時効です。

望みとなるのは、第2取引の存在。

第1と第2が同一と見なされる場合、過バライ金の返還が期待できます。

しかし、逆のパターンでは第2取引の返済は「法定利息内」のため、過バライ金は一円も出ません。

空白があると裁判は長期化する

空白があると裁判は長期化する

すでに時効となっている完済前取引の過バライ金回収は、簡単ではありません。

本アンケートの依頼者さまのように、分断の関係で一部業者の分の回収をあきらめる方も多くいます。

アコムからアイフルまで、どの業者も本音は「なるべくなら返したくない」「できれば少額に抑えてほしい」です。

時効となった取引に関しては無効を主張、裁判でも徹底的に争う構えを見せてきます。

真っ向から争うことになれば、どんな優秀な弁護士をつけたとしても、裁判の長期化は免れないでしょう。

再開前の空白期間の長さや、両取引の関係性、契約状況などによっては一連性が認められず、回収をあきらめることも予想されます。

分断か一連か、その判断基準は?

分断か一連か、その判断基準は?

完済前後の取引を一連と見なすか、分断と見なすかは、過去の判例が基準となります。

その判断基準は次のとおりです。

1. 第1取引の期間の長さ

2. 第1・第2取引の間の期間の長さ

3. 第1取引の基本契約書の返還の有無

4. カードを解約したかどうか

5. 空白期間における貸主と借主の接触の状況

6. 第2取引の基本契約が締結されるまでの経緯

7. 主に金利など、第1・第2各基本契約の条件が変わったかどうか

最終的には裁判官がこれらの要素を勘案して判断を下します。

上記を見ればわかるとおり、曖昧な要素も入ってくるため、いざ争ってみないとわからないケースも多々あります。

“どのような経緯で取引を終えたか”も大事な要素です。

たとえば「一括返済」は二度と取引しないという意思表示にも受け取られます。

第1取引を一括返済で終了し、その後再取引しても、一連でつなげるのが難しくなるのです。

「過バライ金」と「取引の分断」むかしと今の違い

むかしと今の違い

過バライ金請求が本格化して歳月も流れていますので、最盛期と今とではさまざまな面で変化が見られます。

取引の分断がからむ案件も、相澤法務事務所が開業した頃は回収できるケースも多かったのですが、現在は少なくなっています。

それはなぜかというと、最盛期では第1・第2取引ともにグレーゾーン金利にかかっていることが多かったからです。

たとえば、次のような取引。

  取引期間
第1取引 1989(平成元)年4月~1998(平成10)年3月
第2取引 2000(平成13)年5月~2007(平成19)年4月

相澤法務事務所が開業した2009年の請求では、第1取引はすでに時効となります。

しかし第2取引の分の請求は可能。

2年の開きがありますが、一連が認められないとも限りません。

仮に認められなくても、完全に取りはぐれることはないのです。

第2取引でいえば7年分の過バライ金を請求できます。

では、現状はどうなっているか?

上記の例に10年をプラスして考えてみましょう。

  取引期間
第1取引 1999(平成10)年4月~2008(平成20)年3月
第2取引 2010(平成22)年5月~2016(平成28)年4月

第1取引期間は法改正前なので、グレーゾーン金利により過バライ金が発生します。

しかし、今の時点では時効に。

第2取引は時効まで余裕があるとしても、法改正後なので金利は法定の範囲内。

つまり過バライ金請求の対象外です。

ふたつの取引が連続した1個の取引と認められない場合、過バライ金の回収はまったくできなくなります。

一連となるか分断となるかの判断要素を上述しましたが、なかでも空白期間の長短は大きな要素です。

一般的に、空白期間が1年以内であれば、一連性が認められる可能性は高まります。

いずれにしても、法律で決まっていることではなく、裁判官がこれまでの判例に照らし、さまざまな判断要素を考慮しながら総合的に判断することになります。

令和2年現在。空白があっても過バライ金が発生するパターン

令和2年現在。空白があっても発生するパターン

令和2年現在、空白がある取引で過バライ金が発生するパターンはあるのでしょうか?

まったくないとはいえないものの、むかしと比べ、多くの場合時効となる可能性があります。

完済をはさみ、取引がふたつ以上に分かれているケース。

第1取引が時効になっている場合、必ず分断が争点になります。

たとえ第1取引が時効になったとしても、確実に過バライ金が戻ってくるケースとなるのは、第2取引がグレーゾーン金利にかかっているケースです。

つまり、完済後に再開した取引が2007年以前に開始し、なおかつ完済10年未満の取引、ということになるでしょう。

たとえば下記のようなケースが考えられます。

  取引期間
第1取引 1990(平成2)年4月~2001(平成13)年3月
第2取引 2003(平成15)年5月~2011(平成23)年4月

第2取引期間のうち、2003~2007年までは確実にグレーゾーン金利でお金を借りているはず。

2020年のうちに請求を済ませば、この4年間分の過バライ金については回収が可能となるわけです。

もちろん、契約状況や両取引の関係性を考慮して、一連性ありと認められる要素があれば、第1取引分の過バライ金の回収も不可能ではありません。

ただし、その場合は長期の訴訟で争い、決着をつける必要があります。

2020年現在、空白ありの取引で過バライ金を確実に回収できるパターンとして見るべきポイントをまとめます。

1.第2取引がグレーゾーン金利の期間にかかっている

2.1の条件を満たす第2取引を終えてから10年を経過していない、もしくは返済中

3.1の条件を満たす第2取引において、グレーゾーン金利での返済期間が長い

たとえ第2取引がグレーゾーン金利にかかっていても、その期間が短ければ過バライ金も微々たる金額となります。

発生はしても回収するほどの金額ではない可能性も高いのです。

なお、これらはあくまで2020年現在においていえる話。

時間が経過するにつれ、空白期間が生じる過バライ金の回収は困難になってくる点にご留意ください。

取引の空白を意識していない人は多い!

取引の空白を意識していない人は多い!
直筆アンケート20190626

埼玉県草加市 男性(57歳)会社員

■一部、空白時(未利用)があり、完済扱いであった事を知りもっと早く依頼していればよかったと思いました。

ありがとうの声

過払い金返還請求
CFJ
→戻ってきた過払い金 10-50万
調査して頂いた結果、一部、空白時(未利用)があり、完済扱いであった事を知りもっと早く依頼していればよかったと思いました。しかし、少しでも手元に戻って来た事に大変感謝しております。ありがとうございました。
調査して頂いた結果、一部、空白時(未利用)があり、完済扱いであった事を知りもっと早く依頼していればよかったと思いました。しかし、少しでも手元に戻って来た事に大変感謝しております。ありがとうございました。

せっかくの過バライ金を時効で失う理由はさまざまです。

記憶違い、勘違い、過バライ金の事実を知らなかった、家族にバレるのが怖くて請求できなかった、そもそも時効があることを知らなかった、などなど。

時効になりそうだと知りつつ、やむにやまれぬ事情から請求に踏み切れず、タイムオーバーを迎える方もいます。

それでも、過バライ金があるとわかっている人の場合、時効との関連性については比較的意識しやすいといえます。

問題は、分かれた取引の時効をどれくらい意識できるかどうか、です。

このケースでは、取引状況についてある程度記憶しておかないと難しい側面があります。

それは途絶えることなく貸し借りを繰り返してきた取引か?

1度完済した記憶はないか?

完済したのであればそれはいつ頃か?

これらの記憶は歳月が過ぎるほど薄れ、頼りないものとなってしまいます。

しかも、複数の業者と取引がある場合は記憶違いや混同、錯誤が起きやすくなる面は否めません。

本アンケートを投稿してくださった依頼者さまも、完済業者が5社におよびました。

ご意見欄を読むと、「調査していただいた結果、一部空白時があり、完済扱いであったことを知り、もっと早く依頼しておけばよかった」とあります。

つまり、一部時効となる取引があるとわかったのも調査後だったわけです。

この話を聞いて、「もったいない」と感じる方は少なくないでしょう。

しかし、実際によくある話で、キャッシングのヘビーユーザーほど、こうしたミスが生じやすくなる点に注意が必要です。

取引の分断案件を争うかどうかは、事務所によって分かれる

取引の分断案件を争うかどうかは、事務所によって分かれる

これまでお伝えしたとおり、取引がふたつ以上分かれている案件は、時効が含まれているかどうかを見る必要があります。

第1取引が時効となっている場合、交渉はもつれるでしょう。

裁判の長期化も予想されます。

徹底して争えば、最終的に一連性が認められる可能性もあるものの、入金が大幅に遅延する状況は避けられません。

最終的に裁判で勝てばよいのですが、業者側の言い分に分があると裁判官が判断した場合、これまで費やした時間はまったくの無駄という結果に。

そのため、交渉を任された事務所側も、一連性を争うか、それとも最初から切り離して確実に過バライ金が出る取引のみの回収に的を絞るか、分かれるところです。

取引の分断案件は、次のような注意点をまず押さえておく必要があります。

●時効になった取引の返還について、業者は基本的に認めない

●裁判で争うにも100%勝てるという保証はない

●最終的に勝ったとしても長期化の覚悟が必要

●事務所によっては、分の悪い取引内容は最初から時効分を切り離して交渉を進めるところもある

通常の過バライ金返還訴訟と異なり、取引の分断案件は必ずしも依頼者にとって有利とは限りません。

たとえアコムやエポスといった優良業者であっても、分断がからむ案件は裁判の長期化・回収困難になると踏まえておく必要があります。

1回完済した記憶のある人はとりあえず調査を

1回完済した記憶のある人はとりあえず調査を

今から10年くらい前は、取引の分断があるケースもそれほど神経質に手続きせずに済みました。

第1取引も第2取引もグレーゾーン金利にかかっているため、過バライ金の回収は確実だったからです。

月日が経過して、時効にかかる事例も増えたことで、そう簡単には運ばなくなりました。

完済をはさむ取引では、第1取引はすでに時効、第2取引は法定金利、という例が多数を占めるようになったからです。

過バライ金の回収が見込めるのは、第2取引がグレーゾーン金利にかかっている場合。

それも早く手続きしないとそのうち時効になることも考えられます。

時効を防ぐには早めの請求に踏み切る以外、手立てがありません。

グレーゾーン金利時代にお金を借りていて、過去の取引状況や完済時期について記憶が曖昧な方は、とりあえず過バライ金の調査をおすすめします。

時効になってしまえばせっかく発生する過バライ金も0円です。

「一部だけ取り戻すことができた」法定金利で貸し借りをしている人が増えた昨今、このようなケースも減ってきています。

時効になる前に動き出しましょう。

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